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グリード/真山仁  


グリード 上グリード 上
(2013/10/30)
真山 仁

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ハゲタカシリーズ、前作から4年半ぶりの第4弾です。
このシリーズを朝の通勤時間に読むと、ほどよい緊張感が体を巡り、身が引き締まるのを感じます。

単行本に挟み込んであるチラシに、著者自身による本作品への寄稿文が掲載されていました。
タイトルは、「強き男、その名は、鷲津政彦―」。
日本の待望する“強き男”は、まさに 本シリーズの主人公である鷲津のような男であると謳っています。
今作でも鷲津は、緻密かつ大胆な戦略をもとにしたスリリングな買収劇を魅せてくれます。

小説の舞台はリーマンショック前夜のアメリカ。
真山氏は、相変わらずの徹底した事前調査ぶりで、実在する企業、人物を登場させながら
日本のハゲタカが、瀕死の巨人となったアメリカの弱みにつけ込むという挑戦的な物語を描いています。

難しい社会問題に真っ向から切り込み、骨太なストーリーに仕立て上げるのが真山小説の真骨頂。
本作も、未曾有の金融危機をテーマにした重厚な経済ドラマに仕上がっています。
オススメなのが、先日紹介した『外資系金融の終わり』(藤沢数希著)とセットで読むこと。
リーマンショック前後の金融に関する知識と問題点をより深く理解することができるはずです。

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何が金融危機を招いたのか。
これは勿論、一つに絞れるものではなく、多様な要素が複合的に絡み合った結果であり、
様々な角度から検証することで、多くの反省点を見出すことができます。
少しだけ、「金融危機の原因」として一般的に説明される事柄について説明しておきます。

まずは、政府による住宅購入促進キャンペーンを挙げることができます。
この政府によるキャンペーンにより、信用度の低い低所得者層も、住宅を担保にしてサブプライムローンという住宅ローンを借りることができるようになりました。
格差の大きなアメリカにおいて、苦労人がマイホームを持てるというのは、まさに「アメリカン・ドリーム」。
目の前にそんな誘惑をぶら下げられたら、舞い上がらずにはいられません。

しかし、やはりそこには落とし穴があったわけです。
返済能力のない人でも住宅ローンが組めるわけは、住宅の価格上昇が続くと誰もが信じていたから。
アメリカでは戦後60年、住宅の価格は下落したことがなく、この先も上昇し続けるはずだ。だから返済できなくなっても、住宅を売却すれば資金を回収できる。そんな過信がありました。

サブプライムローンは証券化され、MBSなどと呼ばれる住宅ローン担保証券がつくられました。
そんな危うい証券化商品やその派生商品に対して、格付け会社はこぞって高い格付けを与えていました。
その理由としては、前述の住宅価格上昇への過信に加えて、リスク分散のための仕組みが複雑すぎて、ほとんど誰も理解できていなかったということも挙げられます。
誰も彼も目が曇っており、正しくリスク判断ができない状況になっていたのです。

これらの複雑な仕組みは、世界中の金融機関の様々な金融商品に組み入れられながら販売されました。
しかし、アメリカの住宅バブルがはじけると、一気に債権不履行のリスクが拡大。
連鎖的に多くの金融機関が危機的状況に追い込まれ、ベア・スターンズという投資銀行が破綻します。
そしてその数か月後、名門投資銀行であったリーマン・ブラザーズが倒産しました。

このとき、米財務長官ヘンリー・ポールソンは、危機的状況にあったリーマンについて「公的資金は投入しない」と宣言し、これが実質的にリーマンの破綻を決定的にしたと言われています。
しかし、リーマン破綻の影響で連鎖的に他金融機関が危機に陥っていく様相をみて、あわてて方針を転換。
その後は世界の金融システムの崩壊を防ぐため、大手金融機関に対して巨額な税金を注入しています。

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金融危機について押さえておきたい知識を書いてみました。
本作を読めば、こうしたリーマンショックの背景知識もドラマティックに理解できるはずです。
そして著者は、この金融危機の背景には上記のような直接的な要因の他に、もっと根深いアメリカの価値観があるということを作品内において提示しています。

それは、本作品のタイトルである「グリード」つまり「強欲」に関する価値観です。
「強欲は善だ」とは、かの有名なゴードン・ゲッコー(映画「ウォール街」の登場人物)の言葉ですが、
真山氏は、そうしたアメリカの価値観を理解しなくてはならない、と雑誌のインタビューで語っていました。

日本の社会をエセ資本主義という人もいますが、アメリカは本物の資本主義社会です。
つまり、弱肉強食の世界。自分の身は自分で守る。敗者に対する国の加護なんてありません。
アメリカという国家の成り立ちを考えれば、当然のことかもしれません。
だから魅力的なのであって、だからイノベーションが生まれるのだ、とも言えるでしょう。
そういった価値観が良いのか悪いのかという問題はともかく、このグローバル社会において
世界の頂点に君臨するアメリカがそうした価値観を前提にしているということは心しなくてはなりません。

すこし脱線してしまいましたが、アメリカの「強欲」は、まさにそうした厳しい社会の中で必然的に生まれたものであって、本作品では、その「強欲」が先の金融危機を招いたという側面を示しています。
中国を相手にした『レッドゾーン』もそうでしたが、いわゆる「お国柄」の本質的な部分をフィクションの世界で表現することのできる著者の才能は、本当に非凡であると感じます。次回作にも期待しています。
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