FXと読書で人生を変えよう! ホーム »経済について学ぶ本
カテゴリー「経済について学ぶ本」の記事一覧

スポンサーサイト  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

tb: --   cm: --

「官から民へ」という時代だから、読んでおきたい本/『私たちにとって本当に必要な「小さな政府」とはどんなものか?』跡田直澄著  

いまの時代、「官から民へ」「中央から地方へ」という2つの軸が
公共セクターにおける権限移譲の大きなテーマだと思っています。

その1つ目の軸に関して、個人的にはNPO等のソーシャルビジネスの
プレゼンスがどんどん高まっていくのだろうと考えているのですが、
そうした観点から、けっこう面白そうな本を図書館で見つけたので借りてみました。

マーケットのモニターが本来の政府の仕事


こうしたテーマは、つまりは「自由経済」vs「統制経済」、
あるいは「夜警国家」vs「福祉国家」という議論となります。

著者の主張は、当然ながら、前者の立場。
政府が介入するために、市場が収縮し、マーケットにゆがみが生じている。
だから政府の役割は必要最小限にして、もっと民営化を進めるべき、という理論になります。

官から民へ、という流れは小泉政権時代に加速しました。
キーワードは、「規制改革」と「民営化」。
もっとも象徴的なのは郵政民営化でしょう。金融における規制緩和も顕著です。

「お上」が守ってくれる、という感覚が抜け切れていない日本人に
価値観の転換を迫ったのが、小泉政権の功績とも言えるかもしれません。
まだまだ改革途上ですが、「自己責任」が原則という
本当の資本主義社会への脱皮が、いまも進められています。

公共投資は年々減っています。
当然ながら反対論もあるのですが、参考となる記事を貼っておきます↓
国家的自殺を後押しする者たち(三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」)

本書では、そうした規制緩和や民営化、公共支出の減額を推し進めるべきだと説いています。
その目指すところは単純明快。
「マーケットを常にモニターして、モラルのない市場参加者を排除していくのが、
本来の政府の仕事だ」(本文ママ)と、一貫して主張しています。

具体的な数字や事例、提言が記されており、興味深いものが多いです。
8年前に発行された本ですが、このようなテーマで、
わかりやすく説明してある本はあまりないと思うので、興味のある方にはオススメです。

市場原理の通用しないマーケットについてはどうするか


ここからは、本書とは関係ないですが、少しだけ意見を。

社会保障費が増大の一途をたどるなか、官から民へと権限を委譲し、
小さな政府を目指していくのは避けられないことだと思います。
マーケットを民間に解放する、その規制改革が政治家の仕事だとも思っています。

では、市場原理の適用しにくい分野、つまり、
性質的に利益の見込めないマーケットについてはどうするか。
何故だか、すべてが市場原理によって解決されると信じているような人々がいるのですが、
いわゆる「社会的弱者」の支援や、環境分野の活動なんかは、どうしても収益率は低くなります。

ここにNPOなどの存在意義があります。
NPOでは、分配を禁じられている(=非営利)ので、
株式会社のように所有者(株主)が配当を求めることはありません。

そのために、NPOは利益率に捉われず、社会的課題の解決に挑むことができます。
この「非営利」という制度は、市場経済からはじき出された分野において
民間が活躍できるようにするための、すぐれた知恵だと感じます。

基本的に官が握っている分野というのは、
フリーライダーがサービスを受けられる、つまり「受益者負担の原則」が存在しない分野がほとんど。
となれば、単純に官から民へマーケットを開放すれば良いという話ではないはずです。

完全に平等な条件下における競争というのが、実現不可能である以上、
「自己責任」の一言で市場に投げてしまうのは、あまりに無責任だろうと思います。
市場原理に解放するのか、NPOセクターに委託するのか。
そうした振り分けを丁寧にやっていくことが、政府に求められるだろうと感じます。

スポンサーサイト

category: 経済について学ぶ本

thread: 経済

janre: 政治・経済

tb: 0   cm: 0

いわば「大前研一版NewsPicks」/『日本の論点』大前研一著  


日本の論点日本の論点
(2013/10/10)
大前 研一

商品詳細を見る


これは読んでおいた方がいい本!
タイトルとおり、大前氏が「日本の論点」と考える事柄について、
計20のトピックスを取り上げて著者なりの着眼点、ロジックを記したものです。
大前氏の考えが幅広く紹介されていて、時代の流れを掴む大局観が鍛えられます。

地頭を鍛えている人は、時代を読む力がハンパない


一昨日、たまたま覗いたテレビで、セブンイレブン会長の鈴木敏文さんが出ていたのですが、

「ネットでの仮想店舗がメジャーになるほど、リアルな店舗への需要が増していく。一度は商品を手にとって確かめたいという人は少なからず存在するからだ。昔、テレビで野球が放映され始めた頃に、球場に足を運ぶ人が減ると懸念されたが、蓋を開けてみれば、より一層リアルな球場の需要が高まったのと同じだ」

といった趣旨の発言をされていて、さすがだなぁと感じました。
もう80歳を超える人が、いまの時代の流れを正確に捉え、一歩引いた大局的な目線から眺めている。
地頭を鍛えている人は、時代を読む力がひときわ長けていることに感心しました。

そして、本書の著者である大前氏も、もう70歳。
それでも、その頭脳が、時代の最前線を睨み続けていることを本書で確認できます。

取り上げられているトピックは、台頭するチャイワン(中国+台湾)企業、ネット時代の三種の神器(ポータル、決済、物流)、体験型・滞在型の観光戦略、物欲のない若い世代のマーケットの変化、TPPと農業マネジメント、投機マネーを呼び込む地域国家構想などなど、多岐にわたります。

大局的なものの考え方をする人というのは、“現状の良し悪し”を語るのではなく、
“いかに現状の変化を受け入れ、対応策を考えていくか”という視点から考えているように感じます。
相手を変えるのではなく、柔軟に戦略を変えていく。そんな思考の軸が見て取れます。

いわば「大前研一版NewsPicks」


少し話は逸れますが、いまNewsPicksというアプリが流行りだそうで、
いわゆるニュースキュレーションメディアなのですが、この特徴が2つあります。

1.経済に特化していること
2.記事を読んだ識者のコメントを眺められること
(参考:「ユーザー数は追いません」NewsPicksの広告収益に頼らないメディア運営とは?

この2つ目の特徴に関して、よく言われるのが、
Newspicksで識者の視点を知ることが思考トレーニングにつながる、という意見。

たしかに記事のコメント欄を見ていると、
「専門家はそういった視点で物事を眺めるのか」と考えさせられることも少なくありません。
そうしたコメントを見ることで、未知の視点を取り入れるとともに、
自分なりの考えを構築していくことにつながるのだと思います。

となれば、本書はさしずめ「大前研一版Newspicks」とでも言うべきか。
大前氏の思考の原点を学ぶことは、究極の思考トレーニングになるのではないかと思います。
この本をベースに自分の考えを発展させていくと、
ちょっとした意見交換の場において、他の人より高い視野に立ったコメントができそうです。

category: 経済について学ぶ本

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ダン・アリエリー  


予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版
(2010/10/22)
ダン アリエリー

商品詳細を見る


私は日々、合理的な判断に基づいて選択を行っている―
そんな幻想をきれいに打ち砕いてくれるのが本書であり、「行動経済学」という学問です。
きっとこの本を読めば、「いかに自分の行動原理は不合理であるか」を痛感するはず。
自分の中の常識や価値観がひっくり返るほどの驚きの体験ができること請け合いです。

「行動経済学」という学問については、以前ブログにも書いた『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』(マッテオ・モッテルリーニ著)という本でも学ぶことができます。(記事はこのリンクから)
本書は、その記事の最後に紹介した、ダン・アリエリーという好奇心旺盛な研究者が、自身の面白い研究結果について、ユーモアを交えた語り口で紹介してくれるものです。
どれも日常的な事例ばかりですが、その洞察力は素晴らしく、読み手の価値観をガンガン揺さぶってくれます。

相対性の錯視と自己満足感


行動経済学に関する説明や具体例は、上記のブログ記事でも書いたので、ここでは本書の1つのトピックを取り上げて紹介します。下のサムネイル画像をご覧ください。

錯視

2つの中心の円の大きさは同じだけれども、大きな円に囲まれた円より、小さな円に囲まれた円の方が大きく見えてしまう、という有名な錯視です。「そうは見えない」という人は、いないはずです。

本書で書かれているのは、それが人間の心理にもあてはまる、ということ。
経済学の観点を取り入れた学問なので、著者は「給料」を取り上げて、この現象を説明しています。
同じ給料であっても、高い給料の人々に囲まれて仕事をしている人よりも、低い給料の人々に囲まれて仕事をしている人の方が幸福感が高い、という話です。自分が大きく見えるから。
その逆、つまり高い給料に囲まれている人々の幸福感が下がるのは、「隣の芝は青い」と言われるやつですね。

一例として、著者はこんな話を紹介しています。
アメリカの企業の経営者の報酬の高さは有名ですが、その法外な報酬に歯止めをかけようと証券規制当局が考え出したのが、経営幹部の報酬をこと細かに開示することでした。
世間の目を気にして幹部の報酬が抑えられるという効果を期待したわけです。
しかし、マスコミが報酬ランキング特集を組むようになると、経営幹部たちが自分の収入をよその経営幹部の収入と比べるようになり、結果的に、幹部の報酬はうなぎのぼりに上昇したそうです。

給料の多さと幸福感のあいだに相関関係はありません。
この事実は、心理学の分野でこれまでに何度も実証されています。
それでも他人の給料と比べてしまうのは、人々の価値観が「相対性」に影響されるためです。
給料の「絶対的」な金額ではなく、他者と比べたときの「相対的」な金額が幸福感を左右してしまうわけです。

相対的な「円」と絶対的な「円」


さて、この話はもちろん、「給料」に限った話ではないはず。
測定可能な基準が給料であったというだけで、「仕事の能力」や「容姿」など、人と比べることのできる価値であれば、何にだって当てはまります。そうですよね?
職場の同僚など、自分の属するコミュニティのメンバーについて少し考えてみてください。

著者は、この相対性の問題の解決策として、自分を囲む「円」の大きさを調節する方法を紹介しています。
つまり、「小さい円」が集まっているほうに移動すれば、自然と相対的な幸福感が大きくなる、ということです。
同窓会に出席したときに、高級を自慢する「大きい円」から離れたほかの人と話す、といったように。

ただ、人として成長を望むのであれば、やはり自分自身の絶対的な「円」を大きくする努力もしたいですよね。
現状に満足しているのであれば、もしかしたら「小さな円」に囲まれて、自分が「大きい円」であると勘違いしているだけかもしれません。井の中の蛙にはなりたくないものです。
時には、意図的に「大きな円」の集まった環境に飛び込んでみる、という方法も必要でしょう。
ほどよい嫉妬心は、自分の成長のための原動力になってくれると、僕は思っています。

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本の紹介

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

経済ってそういうことだったのか会議/佐藤雅彦、竹中平蔵  


経済学とは何のためにあるのか。
そんな経済学の本質的なあり方を教えてくれる、優れた経済入門書を紹介します。


経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
(2002/09)
佐藤 雅彦、竹中 平蔵 他

商品詳細を見る


メディアクリエーター・佐藤雅彦氏と経済学者・竹中平蔵氏の対話形式で繰り広げられる経済入門書です。
それぞれの業種を代表する著名人同士の共著ということで、一般の人々だけでなく多くの専門家等にも幅広く読まれているようです。

基本的な構成としては、佐藤氏の疑問に竹中氏が丁寧に答えていくという形です。
内容は、貨幣と信用創造、株や為替、税金、世界経済、起業など経済に関連するテーマを幅広く拾っています。
わかりやすい例えと易しい言葉で進められるので、終始なごやかな雰囲気。
経済に詳しくない人でも、コラムのような読み物として気軽に楽しめることができます。

本書の読みどころは、なんと言っても佐藤氏の絶妙な切り口です。
身近な生活に引き寄せて根本的な問いかけをするのですが、どれも本質的な切り込みばかり。
頭抜けたコンセプトで人々の心を掴むクリエーターの真髄を垣間見ることができ、佐藤氏の質問力に本書の唯一無二の意義を感じることができます。

位置づけとしては経済の入門書ですが、意外と知識の含有量が多いのも特徴です。
そして何より、経済の本質から説明してくれるので、上辺だけでない知識を身につけることができます。
佐藤氏の質問力も優れていますが、それに平易な言葉で解説をする竹中氏の説明力も素晴らしいです。
“どのような共同体を築きたいのかを議論するのが、経済学である”
経済学の理論と現実の現代社会をリンクさせながら、上記のメッセージを伝えてくれます。
そうした意味では、為政者としての視点が多分に含まれた本でもあります。


気をつけたいのは、本書が執筆されたのは平成12年であり、リーマンショックは当然訪れていませんし、ユーロもまだ導入直後であるということ。
ただ、タイムリーではないものの、経済の仕組みを学ぶのに優れた一冊であることには間違いありません。
経済に疎い人でも、そうでない人でも学ぶところの多くある本だと思います。

個人的には、本書が発行されてから約四半世紀後を迎えようとしている現代社会を題材にした対話も読んでみたいところです。
現在、TPPやユーロ圏の銀行同盟など、「国家間の経済的な統合」に関する議論が進んでいますが、その実は各国の利害調整が上手くいかず、大きな歪みを抱えているように見えます。
その“無理やり感”について、佐藤氏と竹中氏ならではの視点から意見を聞いてみたいですね。

category: 経済について学ぶ本

thread: 考えさせられる本

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

経済は感情で動く―はじめての行動経済学/マッテオ・モッテルリーニ  


経済は感情で動く―― はじめての行動経済学経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
(2008/04/17)
マッテオ モッテルリーニ

商品詳細を見る


人々は日常において、いかに不合理な判断を行っているか―
21世紀の新しい学問である「行動経済学」の一つのテーマです。
本書では、数多くの実験を紹介し、いかに人間の思考回路が不合理であるかを示しています。

その一つの例を少し簡略化した形で紹介します。


とある近所の文房具屋のおやじが、新たなサービスをはじめることにした。その店で使った金額が5000円になるたびに、ささやかな商品をプレゼントするか、あるいは500円を返すという。
さて、買い物金額が5000円を超えたから、サービスを受けることにしよう。ところで、条件が3つある。どの場合でも、なかのひとつを選ばなければならない。

A 500円をもらうか、メタルのスマートなボールペンをもらう。
B 文房具屋のおやじは気をよくして選択肢を1つ増やす。そこであなたは、500円か、メタルのスマートなボールペンか、同じくメタルのスマートなボールペンだが外見がいくらか違うものか、どれか選ぶ。
C メタルのペンは数が限られているから、選択の幅を広げて、文房具屋のおやじはあなたに次のような提案をする。500円を選ぶか、メタルのスマートなボールペンにするか、あるいはプラスティック製のありふれたボールペンにするか。



それぞれ何を選択しましたか。

Aの場合、選択肢はお金とボールペンの2つ。このどちらを選ぶかは、実はこの実験では関係ありません。
Bの場合、3つ目の選択肢が加わりますが、2つのボールペンはよく似ています。この場合は、お金が選ばれる比率が高くなります。残りの2つの選択肢は優劣つけがたいからです。
しかし、Cの場合、3つ目の選択肢は、ほかの2つの選択肢に比べて明らかに劣っています。この場合には、メタルのボールペンが選ばれやすくなります。プラスティック製のボールペンの出現でメタルのボールペンの価値が上がったように見えるからです。

これは、加えられた選択肢によって、矛盾した結論が生み出されてしまう例です。
合理的な基準をもとに選択するならば、メタルのボールペンの価値はAもBもCも変わらないはずです。
しかし、人の脳は他の選択肢によって惑わされ、合理性を無視した判断を行ってしまいます。



行動経済学とは、簡単に言えば、経済学に心理学の知見を取り入れた学問です。
「経済人」(=人間という存在は、常に合理的な基準にもとづいて行動するという見方)という幻想を理論の前提としている従来の経済学に対するアンチテーゼのような学問です。

紹介した実験例のような知見は、実際の経済活動にも活用されています。
例えば、3つの価格の商品を提示されると、人は真ん中の価格を選びやすくなります。
その性質を利用して、2つの異なる価格の商品があった場合に、値段の高い方の商品に消費者の意識を誘導する事ができます。もう一段階高い価格の商品を横に並べれば良いのです。

そうした手法をいち早く日本の販促活動に取り入れた経営者としては、鈴木敏文氏が有名です。
コンビニ業界トップを走るセブンイレブンの創設者であり、現在も80歳でありながら、会長としての立場からトップダウンの経営を貫き続けているようです。
鈴木氏の「単品管理」や「統計心理学」と言った経営哲学の原点には、行動経済学があります。

画一的な大量生産が中心の20世紀は過ぎ去り、人々には「自由」という名の無数の選択肢が与えられています。
しかし、人々は合理的な選択をしているようで、その判断の根拠はあまりにも不合理。
まだ歴史の浅い「行動経済学」ですが、毎日多くの選択を迫られる一般消費者にも、その消費者の選択を誘導したい企業にも、その知見は非常に役立つものと思われます。
21世紀の社会を象徴する学問として、今後一層存在感を増していくものと確信しています。



最後に、行動経済学をテーマにした、非常にクレバーなTEDのプレゼンを紹介します。
ダン・アリエリー「我々は本当に自分で決めているのか?」

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本の紹介

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

世界の下半身経済が儲かる理由/門倉貴史  


世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ
(2007/03)
門倉 貴史

商品詳細を見る


バックパッカーとして世界中を趣味にする、とある日本人女性。
彼女は、お金がなくなると現地で売春をし、生活費を稼いでいると言います。
日本人女性は価格設定が高く、1回身体を売れば、その国に1ヶ月滞在できるほどの生活費を稼げるそうです。

1970年~80年代に日本人の「買春ツアー」が社会問題となっていたそうですが、
開発途上国では、観光産業発展のための呼び水としてセックス産業の発達が重要視されているそうです。
先進国の人々がセックスを楽しんで、お金を落としていく。
そうしたビジネスへの規制は緩く、政府にとって外貨獲得の重要な手段と認識されているのです。

性を巡る規制のあり方は、永遠の課題だと思います。
本書は、BRICs経済研究所のエコノミストによるセックス産業の話ですが、
日本、そして世界各国のセックス産業を見渡すことで、性ビジネスのあり方を考えさせる本となっています。



禁止するから社会秩序が乱れる。そうした側面は否めません。
人の本能的な欲望を満たす産業は、規制すればアングラ化し、かえって社会に望ましくない結果をもたらす。
著者は米国の悪名高い「禁酒法」を例に挙げながら、そう主張しています。

(説明不要かもしれませんが、あの『グレート・ギャッツビー』などの舞台となった1920年代の米国では、禁酒法によってアルコールの製造・販売が禁止されていました。が、その結果、アルコールの密売を行う犯罪組織の出現を招き、各地でマフィアの抗争が繰り広げられる原因となっています。)

本書では世界のセックス産業の実態が紹介されています。
その各地のあり方は、おそらく読者のセックス産業に関する見方を変える事になると思います。

欧州では、売春が合法化されている国がいくつかあります。
例えば、EUの経済を牽引しているドイツ。
ドイツでは売春が2002年に合法化されています。
目的は、アングラ化して犯罪組織の温床となっている売春を政府の管理下に置くためです。

売春が合法化したことにより、売春婦も社会保障を受けられ、労働組合への参加も認められるようになりました。
そして、「セックス税」と呼ばれる税金の支払い義務も生じました。
一人一人の売春婦から直接一定額を徴収する仕組みで、財政難の自治体の貴重な収入源となっているそうです。
(日本のセックスワーカーは建前上、売春ではないため、いくら大金を稼いでも納税はしません。)

そんな話をすると、日本でも導入すべきだと鼻息荒くする人々もいるでしょうが、やはり負の側面もあります。
一番の問題は、人身売買の横行です。
ドイツでは、売春が合法化されてから周辺諸国の女性が大挙してドイツに押し寄せてきたそうですが、その中には人身売買によって送り込まれた女性も少なくありません。
サッカーW杯の時などは、数千人の外国人女性が人身売買によって送り込まれたとも言われています。

ちなみに、EU経済の足を引っ張る南欧諸国の代表格であるギリシャは、数年前、売春や密売などの「ブラックエコノミー」と呼ばれる金額をGDPに参入したとのことで、それによりGDPが年間400億~600億ユーロも押し上げられています。
必至なのはわかりますが、そんな事をしているから…という思いがしてしまいます。



売春を含め、セックス産業とどのように向き合っていくか。
同時に、モラルの低下をどのように食い止めるか、という問題もあります。
一概に規制すれば良い、という問題ではない事は、本書を読めばよくわかります。

人類の本能的な欲望に関わるテーマのため、永遠になくなることのない問題でしょう。
しかし、議論の俎上にあげようにも、なかなかその実態を知る機会の少ない分野です。
議論するには、セックスワーカー達の人権、市場規模、社会秩序の問題等を考慮しなくてはなりません。

セックス産業の実態をエコノミストの視点から考察した、貴重な一冊です。
驚くような話、ネタになる話も数多く含んでいるので、男性も女性も一読してみることをお勧めします。

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

この国を出よ/大前研一・柳井正  


この国を出よこの国を出よ
(2010/09/29)
大前 研一、柳井 正 他

商品詳細を見る


大前氏と柳井氏という、グローバルで戦う二人の著名人による共著。
常に世界に目を向け続けている二人が代わる代わる、異口同音に「日本批判」を行っています。

なぜ日本はダメなのか。
集約すると、次の4点がポイントになるかと思います。

①日本経済の停滞と国債デフォルトのリスク

やはり経済を肌で感じている方々にとって、一番の日本のリスクは日本経済の将来性なのでしょう。
バブルがはじけ「失われた10年」が20年、30年となり、貿易黒字も赤字へ転落。
(今日発表の今年7月の貿易統計では、過去3番目の大きさの赤字額を記録したそうですね。)
日本経済停滞の原因として、日本の“お家芸”の製造業の国際的な存在感が薄れている事が挙げられています。
先進国のダブついたマネーは、日本を通り越して(“ジャパン・パッシング”)、新興国へと向かっています。

また、公的債務が対GDP比で200%を超えるという異常事態にも触れられています。
本屋の経済書のコーナーでは「日本国債暴落」に備えよ、といった本が並んでいますが、数年の内に日本は破綻するというシナリオを描いている人々は少なからず存在します。国債デフォルトで儲けを狙うヘッジファンドもあるというのもよく聞く話です。
本書でも、そうしたシナリオが現実味を帯びている事を強調し、危機感を持つべきだと警鐘を鳴らしています。

②内向き・下向き・後ろ向きの日本の若者

「この国を出よ」というメッセージには、内向きな若者への叱咤の意味も込められています。
日本からアメリカへの留学生が減っている事や、若い起業家が充分に育たない現状を挙げて、ハングリー精神の欠けた現代の若者を憂いています。
また、ビジネスをマネーゲームと捉えている“ヒルズ族”のような例も挙げ、「ビジネスを通じて世の中を良くしたい」「社会を変えたい」といった信念が欠如しがちである事も指摘しています。

「安定」を求める若者が増えた現状は、「イギリス病」になぞらえて「日本病」と本書では称しています。
「イギリス病」とは、「ゆりかごから墓場まで」という言葉で表される手厚い社会保障制度や基幹産業の国有化が、国民の働く意欲の低下を招いたとする説です。
“環境が人をつくる”とはよく言いますが、過保護な国策により日本人のぬるま湯根性が築かれたというのは、さもありなんと感じます。
終身雇用制度や馴れ合いの社会を見れば、戦後の日本のサラリーマンにあったとされるハングリー精神が削がれてしまうのも無理はありません。

③信頼できない日本の政治

本書が執筆されたのは民主党政権時代。首相の発言がブレにブレまくった時期です。
言っている事とやっている事がちぐはぐで、何一つ統一性がない政権を痛烈に批判しています。
また、上述のように異常なまでに膨れ上がった公的債務や、他国に比べて高い法人税や無駄な規制をやり玉に挙げて、日本政府の経営感覚の欠如も指摘しています。

④絶望的状況なのに能天気な日本人

批判の矛先は、現在の日本社会の状況を唯々として受け入れている日本国民にも向けられています。
むしろ、全ての日本国民こそ最も批判したかった対象なのかもしれません。
一度は経済大国の名を掴んだ日本。しかし、栄誉を手にした途端に慢心が膨らんでいきました。
そうした日本人の気質を育てたのは、政治家であり、マスコミであり、そうした政治を選んだ国民自身である。
著書の二人は、そんな論調で国民を批判し、危機意識を持つよう警告しています。


グローバル化に対して日本人は拒否反応が強く、「チャンス」と捉えられている人は少ないです。
本書では、この時代を前向きに捉え、グローバルな視点で日本の危機的状況を眺めるよう諭しています。
そうした思いも「この国を出よ」という一言に凝縮されています。
ネガティブな意味でも、ポジティブな意味でも、日本を飛び出す事の意義を考えさせられる一冊でした。

category: 経済について学ぶ本

thread: 読んだ本。

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと/泉正人  


会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと (Sanctuary books)会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと (Sanctuary books)
(2011/10/28)
泉正人

商品詳細を見る


著者は「日本ファイナンシャルアカデミー」の代表。
投資関連をネットで検索すると必ず広告が表示される、投資セミナーなどを行っている会社です。

500万円あったらどんな事業を始めるか?
このテーマに対して生徒がビジネスプランを立案し、それを著書が掘り下げて検討していく。
本書では、そんな形でお金の使い方についての授業が展開されます。
売上やコストについて、とても具体的で現実的なシミュレーションを行っているのが大きな特徴です。

例えば、立ち食いそば屋を始めるというモデルでは、客単価や回転数などから売上を計算し、立地コストや人件費、材料費、水道光熱費などのコストを差し引いて利益を求めます。具体的な金額を提示してくれるためリアリティがあります。
望ましい原価率や利益率、広告費の売上に対する割合なんかも教えてくれます。

事業を始めるとなると初期費用にばかり目が行きがちですが、事業運営にはキャッシュフローを想定する事が第一であると学ぶことができます。
お金を増やすビジネスに必要なのは、元手の金額の多寡ではなく、お金を継続的に稼ぐ“仕組み”であると言う事です。

そうした視点でお金の流れを見ると、飲食店などの個人事業主も不動産投資も銀行も、どんなビジネスも同じモノサシで捉える事ができます。
そのモノサシとは、「仕入れと支払いの差額が利益である」(=出るお金と入るお金の差額が儲けである)という計算式です。

飲食店であれば、150円で仕入れる一方で、500円で売る。
不動産投資であれば、ローンを組んで毎月11万円を借金返済にあてる一方で、毎月20万円の家賃を手にする。
銀行であれば、利息0.1%でお金を調達する一方で、3%の金利でお金を貸し出す。
どんなビジネスも絶対に両面があり、その差額が利益になる、ということを著者は強調しています。

稼ぎ続ける“仕組み”があれば、借金だって恐れる事はない。
そして、その“仕組み”を考える上で重要なのが、「損益計算のやり方、キャッシュフロー経営の考え方、バランスシートの見方」であるという事がわかります。
ここに会計を学ぶことの本質的な意義があるのだと感じました。

これを読むと、自分にも事業を立ち上げられそうな気がしてきます。
具体例からビジネスの本質を学ぶことのできる良書だと思います。

category: 経済について学ぶ本

thread: ビジネス・起業・経営に役立つ本

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

竹中先生、日本経済 次はどうなりますか?/竹中平蔵、田原総一郎  


竹中先生、日本経済 次はどうなりますか? (田原総一朗責任編集 オフレコ! BOOKS 2時間でいまがわかる!)竹中先生、日本経済 次はどうなりますか? (田原総一朗責任編集 オフレコ! BOOKS 2時間でいまがわかる!)
(2013/06/08)
竹中平蔵

商品詳細を見る


本屋で見かけ、時事知識の補強のためと思って購入してみました。

アベノミクスの「三本の矢」の成否は三本目の「成長戦略」に掛かっている。
そんな声が日増しに強まり、それが参院選への期待を後押ししているような気がします。
「成長戦略」と言っても、いつの政権だって規制改革など同様のテーマに取り組んでいるのですが、今回は三本の矢と言うわかりやすさと、一、二本目の金融緩和、財政出動が株価を押し上げている事もあって、これまで以上に注目が集まっているように思います。
その渦中にあるのが、安倍首相肝入りの「産業競争力会議」であり、本書を読めばその会議のメンバーである竹中氏の目から見た日本経済の青写真を押さえておく事ができます。

文章は、田原氏との会話形式で進むため、ポンポンと読み進めることができます。
一読した感想としては、率直に言って、都合の良い事ばかり言っているなぁという印象です(聞き手役の田原氏が太鼓持ちのような役割に徹しているのも気になります)。
勿論、ためになる知識や考え方もいくつかありますが、全体的に自己弁護と持論の押しが強く、根拠が根拠になっていないような主張も散見されます。

しかし、各論は興味深いテーマが数多く紹介されています。
4限目、5限目という章で成長戦略の各論が語られるのですが、解雇ルールの問題、特区構想、コンシェッション(PFI)、六次産業など、時事として押さえておきたいテーマを拾う事ができます。
いつの時代も問題は山積していますが、常に時事問題に対するアンテナを高く張って、「自分だったらどうする?」という視点で考える事が頭を鍛える訓練になるのだろうと感じました。



僕の偏見ではありますが、知識人が持ち出す数字と言うのは、どうも全て都合の良いものばかりという気がしてしまいます。
数字のトリックに反論するためにも、もっと自分の情報リテラシーを高めるべきだとは思うのですが、なかなか生のデータなどを探す手間をためらってしまいます。
ネット社会に生きる若者として、身に付けておくべき能力であるとは自覚しているのですが。。
そんな本を以前ブックオフで見かけたような気がするので、今度読んでみたいと思います。

category: 経済について学ぶ本

thread: この本買いました

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

ヤバい経済学/スティーブン・D・レヴィット、スティーブン・J・ダブナー  


ヤバい経済学 [増補改訂版]ヤバい経済学 [増補改訂版]
(2007/04/27)
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー

商品詳細を見る


本書では、ミクロ経済の数式や世界経済の潮流といった話は出てきません。

タイトルの「経済学」とは、社会の事象を統計によって解き明かすという意味です。
そうした意味では、「経済学」は「社会心理学」とかなり近いものだと感じます。
(ちなみに「社会心理学」は、個人の心理に社会が与える影響を社会調査や実験などによって統計的に考察する学問です。)
そう言えば、消費行動に心理的アプローチで迫った行動経済学なんていう分野も、社会心理学者が生み出したものです。

中身を読むと、日常生活や裏社会の現実について、統計データをもとにユニークな分析が繰り広げられています。
例えば、90年代のアメリカで犯罪が激減した理由や、日本の相撲力士の八百長問題、勉強ができる子の親の特徴などについて、独特の視点から、しかし合理的な方法で答えを導きます。
そうしたテーマを見て、食指が動く人もきっと多いでしょう。
実際、内容も面白く、頭の体操になります。社会を切り取る視点を鍛えるのにも役立ちます。

ただ、所々、著者らの考えた推測を、仮説に過ぎないのにまるで事実のように語る口ぶりが少し気になりました。
“人々の行動のインセンティブとなったのは、実は○○である。”
そんな語り口が多いが、それならその仮説を実証するべきだとも思います。
まぁ、筆者達にとってそれらの仮説はあくまで思考ゲームに過ぎないのかもしれないですが。



本書とは直接的に関係ありませんが、最近思う事を一つ。

統計学がいま注目されています。
最強だと謳うベストセラーのあの本もしかり、ビッグデータもしかり。
今の社会、経済の分析の基本には必ず統計学があり、まるで統計学というモノサシで人間社会の全てを解明できるかのような向きもあります。

しかし、統計学は当然ながら万能ではありません。
僕の考える理由を二つ挙げてみます。

一つは、統計学は人の行動の結果しか測ることが出来ないということ。
人が行動に移すまでの意思決定の過程は複雑です。
複雑な思考過程を数字に置き換えて測定する尺度やプログラムが発明されない限り、統計学で得られる結果は不十分であり続けると言わざるを得ません。

もう一つは、統計学は社会を対象としているものであって、個人ではないということ。
いくら社会的な事象を分析することができても、統計学では目の前の相手の感情、行動を推測することができません。これも統計学の限界として挙げる事ができるでしょう。

個人的に、いくら優れた心理尺度が発明されたとして、いくらコンピュータの計算能力が向上したとして、人の心理メカニズムを計量的アプローチから解明するのは不可能と考えています。
それよりモノを言うのはやはり、コンピュータではない生身の人間の経験や直感ではないかと。
統計学はいずれ、定量的なものを計算し尽して廃れていく時が来るかもしれません。
その時、学問の潮流は、ぐるっと一回りして“人間ならではの定性的な価値の再発見”に辿り着くのではないか―。
だいぶ脱線してしまいましたが、考え始めたらそんな妄想が膨らんでいました。

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本の紹介

janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

プロフィール

登録してます

カルチャ!

カレンダー

最新記事

月別アーカイブ

▲ Pagetop

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。