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カテゴリー「経済関連の本」の記事一覧

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「官から民へ」という時代だから、読んでおきたい本/『私たちにとって本当に必要な「小さな政府」とはどんなものか?』跡田直澄著  

いまの時代、「官から民へ」「中央から地方へ」という2つの軸が
公共セクターにおける権限移譲の大きなテーマだと思っています。

その1つ目の軸に関して、個人的にはNPO等のソーシャルビジネスの
プレゼンスがどんどん高まっていくのだろうと考えているのですが、
そうした観点から、けっこう面白そうな本を図書館で見つけたので借りてみました。

マーケットのモニターが本来の政府の仕事


こうしたテーマは、つまりは「自由経済」vs「統制経済」、
あるいは「夜警国家」vs「福祉国家」という議論となります。

著者の主張は、当然ながら、前者の立場。
政府が介入するために、市場が収縮し、マーケットにゆがみが生じている。
だから政府の役割は必要最小限にして、もっと民営化を進めるべき、という理論になります。

官から民へ、という流れは小泉政権時代に加速しました。
キーワードは、「規制改革」と「民営化」。
もっとも象徴的なのは郵政民営化でしょう。金融における規制緩和も顕著です。

「お上」が守ってくれる、という感覚が抜け切れていない日本人に
価値観の転換を迫ったのが、小泉政権の功績とも言えるかもしれません。
まだまだ改革途上ですが、「自己責任」が原則という
本当の資本主義社会への脱皮が、いまも進められています。

公共投資は年々減っています。
当然ながら反対論もあるのですが、参考となる記事を貼っておきます↓
国家的自殺を後押しする者たち(三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」)

本書では、そうした規制緩和や民営化、公共支出の減額を推し進めるべきだと説いています。
その目指すところは単純明快。
「マーケットを常にモニターして、モラルのない市場参加者を排除していくのが、
本来の政府の仕事だ」(本文ママ)と、一貫して主張しています。

具体的な数字や事例、提言が記されており、興味深いものが多いです。
8年前に発行された本ですが、このようなテーマで、
わかりやすく説明してある本はあまりないと思うので、興味のある方にはオススメです。

市場原理の通用しないマーケットについてはどうするか


ここからは、本書とは関係ないですが、少しだけ意見を。

社会保障費が増大の一途をたどるなか、官から民へと権限を委譲し、
小さな政府を目指していくのは避けられないことだと思います。
マーケットを民間に解放する、その規制改革が政治家の仕事だとも思っています。

では、市場原理の適用しにくい分野、つまり、
性質的に利益の見込めないマーケットについてはどうするか。
何故だか、すべてが市場原理によって解決されると信じているような人々がいるのですが、
いわゆる「社会的弱者」の支援や、環境分野の活動なんかは、どうしても収益率は低くなります。

ここにNPOなどの存在意義があります。
NPOでは、分配を禁じられている(=非営利)ので、
株式会社のように所有者(株主)が配当を求めることはありません。

そのために、NPOは利益率に捉われず、社会的課題の解決に挑むことができます。
この「非営利」という制度は、市場経済からはじき出された分野において
民間が活躍できるようにするための、すぐれた知恵だと感じます。

基本的に官が握っている分野というのは、
フリーライダーがサービスを受けられる、つまり「受益者負担の原則」が存在しない分野がほとんど。
となれば、単純に官から民へマーケットを開放すれば良いという話ではないはずです。

完全に平等な条件下における競争というのが、実現不可能である以上、
「自己責任」の一言で市場に投げてしまうのは、あまりに無責任だろうと思います。
市場原理に解放するのか、NPOセクターに委託するのか。
そうした振り分けを丁寧にやっていくことが、政府に求められるだろうと感じます。

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category: 経済について学ぶ本

thread: 経済

janre: 政治・経済

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いわば「大前研一版NewsPicks」/『日本の論点』大前研一著  


日本の論点日本の論点
(2013/10/10)
大前 研一

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これは読んでおいた方がいい本!
タイトルとおり、大前氏が「日本の論点」と考える事柄について、
計20のトピックスを取り上げて著者なりの着眼点、ロジックを記したものです。
大前氏の考えが幅広く紹介されていて、時代の流れを掴む大局観が鍛えられます。

地頭を鍛えている人は、時代を読む力がハンパない


一昨日、たまたま覗いたテレビで、セブンイレブン会長の鈴木敏文さんが出ていたのですが、

「ネットでの仮想店舗がメジャーになるほど、リアルな店舗への需要が増していく。一度は商品を手にとって確かめたいという人は少なからず存在するからだ。昔、テレビで野球が放映され始めた頃に、球場に足を運ぶ人が減ると懸念されたが、蓋を開けてみれば、より一層リアルな球場の需要が高まったのと同じだ」

といった趣旨の発言をされていて、さすがだなぁと感じました。
もう80歳を超える人が、いまの時代の流れを正確に捉え、一歩引いた大局的な目線から眺めている。
地頭を鍛えている人は、時代を読む力がひときわ長けていることに感心しました。

そして、本書の著者である大前氏も、もう70歳。
それでも、その頭脳が、時代の最前線を睨み続けていることを本書で確認できます。

取り上げられているトピックは、台頭するチャイワン(中国+台湾)企業、ネット時代の三種の神器(ポータル、決済、物流)、体験型・滞在型の観光戦略、物欲のない若い世代のマーケットの変化、TPPと農業マネジメント、投機マネーを呼び込む地域国家構想などなど、多岐にわたります。

大局的なものの考え方をする人というのは、“現状の良し悪し”を語るのではなく、
“いかに現状の変化を受け入れ、対応策を考えていくか”という視点から考えているように感じます。
相手を変えるのではなく、柔軟に戦略を変えていく。そんな思考の軸が見て取れます。

いわば「大前研一版NewsPicks」


少し話は逸れますが、いまNewsPicksというアプリが流行りだそうで、
いわゆるニュースキュレーションメディアなのですが、この特徴が2つあります。

1.経済に特化していること
2.記事を読んだ識者のコメントを眺められること
(参考:「ユーザー数は追いません」NewsPicksの広告収益に頼らないメディア運営とは?

この2つ目の特徴に関して、よく言われるのが、
Newspicksで識者の視点を知ることが思考トレーニングにつながる、という意見。

たしかに記事のコメント欄を見ていると、
「専門家はそういった視点で物事を眺めるのか」と考えさせられることも少なくありません。
そうしたコメントを見ることで、未知の視点を取り入れるとともに、
自分なりの考えを構築していくことにつながるのだと思います。

となれば、本書はさしずめ「大前研一版Newspicks」とでも言うべきか。
大前氏の思考の原点を学ぶことは、究極の思考トレーニングになるのではないかと思います。
この本をベースに自分の考えを発展させていくと、
ちょっとした意見交換の場において、他の人より高い視野に立ったコメントができそうです。

category: 経済について学ぶ本

thread: 読書メモ

janre: 本・雑誌

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予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ダン・アリエリー  


予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版
(2010/10/22)
ダン アリエリー

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私は日々、合理的な判断に基づいて選択を行っている―
そんな幻想をきれいに打ち砕いてくれるのが本書であり、「行動経済学」という学問です。
きっとこの本を読めば、「いかに自分の行動原理は不合理であるか」を痛感するはず。
自分の中の常識や価値観がひっくり返るほどの驚きの体験ができること請け合いです。

「行動経済学」という学問については、以前ブログにも書いた『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』(マッテオ・モッテルリーニ著)という本でも学ぶことができます。(記事はこのリンクから)
本書は、その記事の最後に紹介した、ダン・アリエリーという好奇心旺盛な研究者が、自身の面白い研究結果について、ユーモアを交えた語り口で紹介してくれるものです。
どれも日常的な事例ばかりですが、その洞察力は素晴らしく、読み手の価値観をガンガン揺さぶってくれます。

相対性の錯視と自己満足感


行動経済学に関する説明や具体例は、上記のブログ記事でも書いたので、ここでは本書の1つのトピックを取り上げて紹介します。下のサムネイル画像をご覧ください。

錯視

2つの中心の円の大きさは同じだけれども、大きな円に囲まれた円より、小さな円に囲まれた円の方が大きく見えてしまう、という有名な錯視です。「そうは見えない」という人は、いないはずです。

本書で書かれているのは、それが人間の心理にもあてはまる、ということ。
経済学の観点を取り入れた学問なので、著者は「給料」を取り上げて、この現象を説明しています。
同じ給料であっても、高い給料の人々に囲まれて仕事をしている人よりも、低い給料の人々に囲まれて仕事をしている人の方が幸福感が高い、という話です。自分が大きく見えるから。
その逆、つまり高い給料に囲まれている人々の幸福感が下がるのは、「隣の芝は青い」と言われるやつですね。

一例として、著者はこんな話を紹介しています。
アメリカの企業の経営者の報酬の高さは有名ですが、その法外な報酬に歯止めをかけようと証券規制当局が考え出したのが、経営幹部の報酬をこと細かに開示することでした。
世間の目を気にして幹部の報酬が抑えられるという効果を期待したわけです。
しかし、マスコミが報酬ランキング特集を組むようになると、経営幹部たちが自分の収入をよその経営幹部の収入と比べるようになり、結果的に、幹部の報酬はうなぎのぼりに上昇したそうです。

給料の多さと幸福感のあいだに相関関係はありません。
この事実は、心理学の分野でこれまでに何度も実証されています。
それでも他人の給料と比べてしまうのは、人々の価値観が「相対性」に影響されるためです。
給料の「絶対的」な金額ではなく、他者と比べたときの「相対的」な金額が幸福感を左右してしまうわけです。

相対的な「円」と絶対的な「円」


さて、この話はもちろん、「給料」に限った話ではないはず。
測定可能な基準が給料であったというだけで、「仕事の能力」や「容姿」など、人と比べることのできる価値であれば、何にだって当てはまります。そうですよね?
職場の同僚など、自分の属するコミュニティのメンバーについて少し考えてみてください。

著者は、この相対性の問題の解決策として、自分を囲む「円」の大きさを調節する方法を紹介しています。
つまり、「小さい円」が集まっているほうに移動すれば、自然と相対的な幸福感が大きくなる、ということです。
同窓会に出席したときに、高級を自慢する「大きい円」から離れたほかの人と話す、といったように。

ただ、人として成長を望むのであれば、やはり自分自身の絶対的な「円」を大きくする努力もしたいですよね。
現状に満足しているのであれば、もしかしたら「小さな円」に囲まれて、自分が「大きい円」であると勘違いしているだけかもしれません。井の中の蛙にはなりたくないものです。
時には、意図的に「大きな円」の集まった環境に飛び込んでみる、という方法も必要でしょう。
ほどよい嫉妬心は、自分の成長のための原動力になってくれると、僕は思っています。

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本の紹介

janre: 本・雑誌

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円安シナリオの落とし穴/池田雄之輔  


円安シナリオの落とし穴 (日経プレミアシリーズ)円安シナリオの落とし穴 (日経プレミアシリーズ)
(2013/12/10)
池田 雄之輔

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野村証券の為替ストラテジストによる、為替の見方、展望について解説した本です。

著者が投資戦略を提供する“お客さん”は、投機的プレーヤーの代表格であるヘッジファンドが7~8割、投資信託や保険会社などの「リアルマネー」と呼ばれる長期投資家が2~3割とのこと。
その“商品”である投資戦略を設計する際の、著者の立案過程、いわば“手の内”を公開しているのが本書であり、丁寧に読み込んでいけば、非常に勉強になります。

為替を動かす「三層の波」


著者は、ドル円相場を動かす要因を三つにわけ、それを「三層の波」と呼んで、それぞれの解説をしています。

(1)投機(ヘッジファンド)
(2)貿易収支などの円需給
(3)日米金利差


それぞれの影響について、(1)は「爆発的だが短期の影響」、(2)は「緩やかだが長期の影響」、(3)はその「中間」としています。

各要因について、過去のドル円の動きと著者の見立てなどの事例を振り返りながら、“どのような要因がどのように為替に影響を与えるのか”を解説してくれるのですが、ひとつひとつ根拠となる数字や図表を丁寧に示しているので、とても誠実で親切な印象を受けます。
特に、複雑で見極めるのが難しい「円需給」に関する解説については、これほど丁寧に分析している本はないのではないか、と思われるほどです。

円需給については、主に「貿易収支」「所得収支」「対外直接投資」「投信マネー」「生保マネー」の観点から説明されていますが、どれも公に発表される数字からでは、その影響を見極めるのが難しいものばかりです。
例えば、海外との間で定期的にやり取りされるお金を集計した「経常収支」は以下の式で示されます。

 経常収支 = 貿易・サービス収支 + 所得収支 + 経常移転収支

2012年度は、「貿易・サービス収支」が約9.4兆円の赤字、「所得収支」が約14.7兆円の黒字、「経常移転収支」が約1.0兆円の赤字で、それらを合計した「経常収支」は約4.4兆円の黒字でした。
(「所得収支」とは、「債券の金利、株式の配当金、直接投資からの配当のやりとりを集計したもの」)

ということは、単純に考えると、海外から日本が受け取るお金が超過していることを示しており、円高要因となるのではないか、と考えてしまうのですが、実のところはそうではない。なぜか。
専門家でなくとも、もしかしたら少し考えてみればわかるのかもしれません。
答えは本書で確認してください。ヒントは「円転」(リパトリエーション)です。

あと、他にも多くのことが勉強になったのですが、一つ挙げたいのが、原発停止の貿易収支への影響。
エネルギー輸入の急増や、貿易収支が赤字に転落したのは、東日本大震災直後のことです。
そのため「原発の停止が貿易赤字の最大の原因」と僕も勝手に思っていたのですが、そうした考え方が知識不足に基づく誤りであるということが、数字を示されるとわかります。

今後のドル円相場の展望について


著者は、アベノミクスによる円安相場を振り返りながら、向こう2年間の相場の展望についても触れています。

ヘッジファンドは徐々にドル円ロングの手仕舞いを始めており、「三層の波」のうち「(1)投機(ヘッジファンド)」によるドル円押し上げは望みにくくなってきている。しかし一方で、これからは「(2)円需給」、「(3)日米金利差」が中長期的なドル円上昇を支えるであろう、としています。

参考までに、著者の書いたウェブ記事を貼り付けておきます↓
米ドル/円のターゲットは110円。2014年は緩やかな円安トレンドへ

本書が発行されたのは、2013年12月9日。
年初以来の円高進行の前に書かれたものですが、ヘッジファンドによるポジションの巻き戻しがひと段落した(ように思われる)今こそ読むべき本なのかもしれません。
複雑な為替の動きのカラクリを少し解明できたような気がします。為替の奥深さを知ることができるとともに、為替ストラテジストという職業の厳しさも知ることができる良書だと思います。


category: 為替・金融を学ぶ本

thread: ビジネス・起業・経営に役立つ本

janre: 本・雑誌

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外資系金融の終わり 年収5000万円トレーダーの悩ましき日々/藤沢数希  


外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
(2012/09/14)
藤沢 数希

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巨大な金融機関は、「大きすぎて潰せない」とよく言われます。
もし潰れそうになったら、金融システムを守るために国が税金を投じて救ってくれるということであり、
それ故に銀行はリスクを取り放題、というモラルハザードが構造的な問題として存在していました。

しかし、リーマンの破綻によって、その暗黙の前提は崩れ去ります。
(ただ、「公的資金を投じない」と宣言してリーマンを潰した米財務省は、その影響の大きさに気づいてあわてて他の金融機関には莫大な公的資金を注入したというオチがついていますが)

金融の世界はリーマンショックを転機に、監視の目が強くなりました。
金融危機を招いた銀行業界は世間の強いバッシングを受け、金融当局により規制が強化されつつあります。
2013年12月には、元FRB議長のポール氏主導による「ボルカー・ルール」の細目が発表されました。
これは、あまりに肥大化、複雑化しすぎた金融機関にメスを入れるもので、金融機関の行きすぎたリスクテイクを抑える内容となっています(実施は15年7月)。

これまで規制緩和によって、銀行、証券、保険、資産運用と金融機関はあらゆる金融商品を扱うようになり、複雑化、かつ巨大化してきましたが、それはモラルハザードや利益相反の温床となってきました。
どうやら、現在はそうした金融機関のあり方を問い直すべき時期のようです。

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と、まぁこんな金融の世界について皮肉たっぷりに描いているのが本書です。
本書は、ホリエモンの著書「ネットがつながらなかったので仕方なく本を100冊読んで考えた」の中で絶賛されていたのを読んで購入してみたのですが、本当に面白い本でした。

著者は、自身が外資系投資銀行で桁違いの報酬を得ているトレーダーであり、その立場から見た、リーマンショック以降の外資系金融の実態と仕組みについてユーモラスに説明してくれています。
本書はいわば外資系金融の世界の“暴露本”で、高額所得者たちの蠢く世界のオモテとウラを赤裸々に示してくれており、そこに横たわる問題点も痛烈に皮肉っています。
そして、その上で著者の描く金融機関のあるべき姿も提示しているところが、フェアな感じがして良いです。

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「大きすぎてつぶせないなら、それは大きすぎるのだ」
元FRB議長、アラン・グリーンスパン氏はこのように語っているそうです。
つまり、市場原理主義の機能しないような巨大な金融機関は、解体して小さくすべきである、と。
現役時代は「金融のマエストロ」と持ち上げられ、リーマンショック後は「金融危機の主犯」と評価の一変したグリーンスパン氏の言葉は、言い訳のようであり、しかし重みを持っています。
僕は金融の世界の住人ではありませんが、この本を読む限り、まったくそのとおりだと思いました。

category: 為替・金融を学ぶ本

thread: オススメの本の紹介

janre: 本・雑誌

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イエレンのFRB 世界同時緩和の次を読む/藤井彰夫  

アメリカで大統領の次に影響力があると言われるFRB議長。
そのFRBの次期議長であるイエレン氏のスタンスをおさえておきたい、また、近年の先進国の中央銀行の政策を把握しておきたいという方にオススメの本を紹介します。


イエレンのFRB 世界同時緩和の次を読むイエレンのFRB 世界同時緩和の次を読む
(2013/12/18)
藤井 彰夫

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著者は、日経新聞のワシントン支局長。
関係者らへの丁寧な取材に基づいた、FRB等の金融政策に関する概要が整理されています。
メインはイエレン氏の人柄や政策スタンスについてですが、前議長であるバーナンキ氏や、先進国(欧州、日本)の中央銀行の政策やその変遷についても触れられています。

現在、イエレン氏の手腕が最も注目される政策は、オープン・エンド(無期限)で始まった量的緩和、いわゆる「QE(Quantitative Easing)第3弾」の出口に向けた戦略です。
その「非伝統的な金融政策」と呼ばれる量的緩和のあり方を議論するには、2008年のリーマンショックまで遡る必要があります。

本書では、その未曾有の金融危機に直面したバーナンキ現議長の実施した3回にわたる量的緩和政策(QE1,2,3)の決定過程とその経過が丁寧にまとめられており、
異例の金融政策に関する批判を強める政治圧力に苦慮する姿や、先行しておそるおそる量的緩和を実施していた日銀との相違点を強調する姿勢などが見て取れます。
また、当時のバーナンキ氏の批判に対する2013年の黒田日銀の量的緩和の特徴や、それに関する先進国の評価にも言及されている部分は、なかなか面白いです。
当たり前のことではありますが、各国の中央銀行は、他国の金融政策の動向や成果を互いに注視しているということがよくわかります。

近年、先進国の中央銀行の役割やその影響力が大きく変化しています。
各国の中央銀行はこぞって緩和政策を行い、フォワード・ガイダンスなどコミュニケーション政策を重視するようになりました。そして、中央銀行の政策の動向やその思惑によって、世界の市場や実体経済が大きく左右されるようになっています。
著者はそうした状況について、「本来は経済の黒子である中央銀行がこれだけ注目を浴びる時代は異常」としながら、「世界で中央銀行の力は一段と強大になる傾向にある」と述べています。
その背景にあるものや、現在の中央銀行の役割について、本書から学ぶことができます。

本書は、個々の政策をミクロに眺めながら、その背景を含めたマクロな大局観を持つことができるような構成となっています。
読破するにはある程度の金融の知識が必要とされますが、近年の各国の中央銀行の果たした役割をおさらいし、知識を深めるのに、とても優れた一冊だと思います。
もちろん、FX等の投資におけるファンダメンタルズ分析の前提知識を補強するのにも参考になるはずです。
個人的には、冬休みの調べ学習(その成果は、「FXについて→2014年予想」参照)に大いに役立ちました。

発行年月日は2013年12月20日。
つい最近発売された本なので、けっこう最新の事情まで盛り込まれています。
(当然ながらその前々日に発表されたQE3縮小については触れられていませんが。。)
金融の世界は刻一刻と変化していくので、興味のある方はお早めに読まれることをオススメします。

category: 為替・金融を学ぶ本

thread: 経済

janre: 政治・経済

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経済ってそういうことだったのか会議/佐藤雅彦、竹中平蔵  


経済学とは何のためにあるのか。
そんな経済学の本質的なあり方を教えてくれる、優れた経済入門書を紹介します。


経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
(2002/09)
佐藤 雅彦、竹中 平蔵 他

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メディアクリエーター・佐藤雅彦氏と経済学者・竹中平蔵氏の対話形式で繰り広げられる経済入門書です。
それぞれの業種を代表する著名人同士の共著ということで、一般の人々だけでなく多くの専門家等にも幅広く読まれているようです。

基本的な構成としては、佐藤氏の疑問に竹中氏が丁寧に答えていくという形です。
内容は、貨幣と信用創造、株や為替、税金、世界経済、起業など経済に関連するテーマを幅広く拾っています。
わかりやすい例えと易しい言葉で進められるので、終始なごやかな雰囲気。
経済に詳しくない人でも、コラムのような読み物として気軽に楽しめることができます。

本書の読みどころは、なんと言っても佐藤氏の絶妙な切り口です。
身近な生活に引き寄せて根本的な問いかけをするのですが、どれも本質的な切り込みばかり。
頭抜けたコンセプトで人々の心を掴むクリエーターの真髄を垣間見ることができ、佐藤氏の質問力に本書の唯一無二の意義を感じることができます。

位置づけとしては経済の入門書ですが、意外と知識の含有量が多いのも特徴です。
そして何より、経済の本質から説明してくれるので、上辺だけでない知識を身につけることができます。
佐藤氏の質問力も優れていますが、それに平易な言葉で解説をする竹中氏の説明力も素晴らしいです。
“どのような共同体を築きたいのかを議論するのが、経済学である”
経済学の理論と現実の現代社会をリンクさせながら、上記のメッセージを伝えてくれます。
そうした意味では、為政者としての視点が多分に含まれた本でもあります。


気をつけたいのは、本書が執筆されたのは平成12年であり、リーマンショックは当然訪れていませんし、ユーロもまだ導入直後であるということ。
ただ、タイムリーではないものの、経済の仕組みを学ぶのに優れた一冊であることには間違いありません。
経済に疎い人でも、そうでない人でも学ぶところの多くある本だと思います。

個人的には、本書が発行されてから約四半世紀後を迎えようとしている現代社会を題材にした対話も読んでみたいところです。
現在、TPPやユーロ圏の銀行同盟など、「国家間の経済的な統合」に関する議論が進んでいますが、その実は各国の利害調整が上手くいかず、大きな歪みを抱えているように見えます。
その“無理やり感”について、佐藤氏と竹中氏ならではの視点から意見を聞いてみたいですね。

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経済は感情で動く―はじめての行動経済学/マッテオ・モッテルリーニ  


経済は感情で動く―― はじめての行動経済学経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
(2008/04/17)
マッテオ モッテルリーニ

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人々は日常において、いかに不合理な判断を行っているか―
21世紀の新しい学問である「行動経済学」の一つのテーマです。
本書では、数多くの実験を紹介し、いかに人間の思考回路が不合理であるかを示しています。

その一つの例を少し簡略化した形で紹介します。


とある近所の文房具屋のおやじが、新たなサービスをはじめることにした。その店で使った金額が5000円になるたびに、ささやかな商品をプレゼントするか、あるいは500円を返すという。
さて、買い物金額が5000円を超えたから、サービスを受けることにしよう。ところで、条件が3つある。どの場合でも、なかのひとつを選ばなければならない。

A 500円をもらうか、メタルのスマートなボールペンをもらう。
B 文房具屋のおやじは気をよくして選択肢を1つ増やす。そこであなたは、500円か、メタルのスマートなボールペンか、同じくメタルのスマートなボールペンだが外見がいくらか違うものか、どれか選ぶ。
C メタルのペンは数が限られているから、選択の幅を広げて、文房具屋のおやじはあなたに次のような提案をする。500円を選ぶか、メタルのスマートなボールペンにするか、あるいはプラスティック製のありふれたボールペンにするか。



それぞれ何を選択しましたか。

Aの場合、選択肢はお金とボールペンの2つ。このどちらを選ぶかは、実はこの実験では関係ありません。
Bの場合、3つ目の選択肢が加わりますが、2つのボールペンはよく似ています。この場合は、お金が選ばれる比率が高くなります。残りの2つの選択肢は優劣つけがたいからです。
しかし、Cの場合、3つ目の選択肢は、ほかの2つの選択肢に比べて明らかに劣っています。この場合には、メタルのボールペンが選ばれやすくなります。プラスティック製のボールペンの出現でメタルのボールペンの価値が上がったように見えるからです。

これは、加えられた選択肢によって、矛盾した結論が生み出されてしまう例です。
合理的な基準をもとに選択するならば、メタルのボールペンの価値はAもBもCも変わらないはずです。
しかし、人の脳は他の選択肢によって惑わされ、合理性を無視した判断を行ってしまいます。



行動経済学とは、簡単に言えば、経済学に心理学の知見を取り入れた学問です。
「経済人」(=人間という存在は、常に合理的な基準にもとづいて行動するという見方)という幻想を理論の前提としている従来の経済学に対するアンチテーゼのような学問です。

紹介した実験例のような知見は、実際の経済活動にも活用されています。
例えば、3つの価格の商品を提示されると、人は真ん中の価格を選びやすくなります。
その性質を利用して、2つの異なる価格の商品があった場合に、値段の高い方の商品に消費者の意識を誘導する事ができます。もう一段階高い価格の商品を横に並べれば良いのです。

そうした手法をいち早く日本の販促活動に取り入れた経営者としては、鈴木敏文氏が有名です。
コンビニ業界トップを走るセブンイレブンの創設者であり、現在も80歳でありながら、会長としての立場からトップダウンの経営を貫き続けているようです。
鈴木氏の「単品管理」や「統計心理学」と言った経営哲学の原点には、行動経済学があります。

画一的な大量生産が中心の20世紀は過ぎ去り、人々には「自由」という名の無数の選択肢が与えられています。
しかし、人々は合理的な選択をしているようで、その判断の根拠はあまりにも不合理。
まだ歴史の浅い「行動経済学」ですが、毎日多くの選択を迫られる一般消費者にも、その消費者の選択を誘導したい企業にも、その知見は非常に役立つものと思われます。
21世紀の社会を象徴する学問として、今後一層存在感を増していくものと確信しています。



最後に、行動経済学をテーマにした、非常にクレバーなTEDのプレゼンを紹介します。
ダン・アリエリー「我々は本当に自分で決めているのか?」

category: 経済について学ぶ本

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世界の下半身経済が儲かる理由/門倉貴史  


世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ
(2007/03)
門倉 貴史

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バックパッカーとして世界中を趣味にする、とある日本人女性。
彼女は、お金がなくなると現地で売春をし、生活費を稼いでいると言います。
日本人女性は価格設定が高く、1回身体を売れば、その国に1ヶ月滞在できるほどの生活費を稼げるそうです。

1970年~80年代に日本人の「買春ツアー」が社会問題となっていたそうですが、
開発途上国では、観光産業発展のための呼び水としてセックス産業の発達が重要視されているそうです。
先進国の人々がセックスを楽しんで、お金を落としていく。
そうしたビジネスへの規制は緩く、政府にとって外貨獲得の重要な手段と認識されているのです。

性を巡る規制のあり方は、永遠の課題だと思います。
本書は、BRICs経済研究所のエコノミストによるセックス産業の話ですが、
日本、そして世界各国のセックス産業を見渡すことで、性ビジネスのあり方を考えさせる本となっています。



禁止するから社会秩序が乱れる。そうした側面は否めません。
人の本能的な欲望を満たす産業は、規制すればアングラ化し、かえって社会に望ましくない結果をもたらす。
著者は米国の悪名高い「禁酒法」を例に挙げながら、そう主張しています。

(説明不要かもしれませんが、あの『グレート・ギャッツビー』などの舞台となった1920年代の米国では、禁酒法によってアルコールの製造・販売が禁止されていました。が、その結果、アルコールの密売を行う犯罪組織の出現を招き、各地でマフィアの抗争が繰り広げられる原因となっています。)

本書では世界のセックス産業の実態が紹介されています。
その各地のあり方は、おそらく読者のセックス産業に関する見方を変える事になると思います。

欧州では、売春が合法化されている国がいくつかあります。
例えば、EUの経済を牽引しているドイツ。
ドイツでは売春が2002年に合法化されています。
目的は、アングラ化して犯罪組織の温床となっている売春を政府の管理下に置くためです。

売春が合法化したことにより、売春婦も社会保障を受けられ、労働組合への参加も認められるようになりました。
そして、「セックス税」と呼ばれる税金の支払い義務も生じました。
一人一人の売春婦から直接一定額を徴収する仕組みで、財政難の自治体の貴重な収入源となっているそうです。
(日本のセックスワーカーは建前上、売春ではないため、いくら大金を稼いでも納税はしません。)

そんな話をすると、日本でも導入すべきだと鼻息荒くする人々もいるでしょうが、やはり負の側面もあります。
一番の問題は、人身売買の横行です。
ドイツでは、売春が合法化されてから周辺諸国の女性が大挙してドイツに押し寄せてきたそうですが、その中には人身売買によって送り込まれた女性も少なくありません。
サッカーW杯の時などは、数千人の外国人女性が人身売買によって送り込まれたとも言われています。

ちなみに、EU経済の足を引っ張る南欧諸国の代表格であるギリシャは、数年前、売春や密売などの「ブラックエコノミー」と呼ばれる金額をGDPに参入したとのことで、それによりGDPが年間400億~600億ユーロも押し上げられています。
必至なのはわかりますが、そんな事をしているから…という思いがしてしまいます。



売春を含め、セックス産業とどのように向き合っていくか。
同時に、モラルの低下をどのように食い止めるか、という問題もあります。
一概に規制すれば良い、という問題ではない事は、本書を読めばよくわかります。

人類の本能的な欲望に関わるテーマのため、永遠になくなることのない問題でしょう。
しかし、議論の俎上にあげようにも、なかなかその実態を知る機会の少ない分野です。
議論するには、セックスワーカー達の人権、市場規模、社会秩序の問題等を考慮しなくてはなりません。

セックス産業の実態をエコノミストの視点から考察した、貴重な一冊です。
驚くような話、ネタになる話も数多く含んでいるので、男性も女性も一読してみることをお勧めします。

category: 経済について学ぶ本

thread: オススメの本

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この国を出よ/大前研一・柳井正  


この国を出よこの国を出よ
(2010/09/29)
大前 研一、柳井 正 他

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大前氏と柳井氏という、グローバルで戦う二人の著名人による共著。
常に世界に目を向け続けている二人が代わる代わる、異口同音に「日本批判」を行っています。

なぜ日本はダメなのか。
集約すると、次の4点がポイントになるかと思います。

①日本経済の停滞と国債デフォルトのリスク

やはり経済を肌で感じている方々にとって、一番の日本のリスクは日本経済の将来性なのでしょう。
バブルがはじけ「失われた10年」が20年、30年となり、貿易黒字も赤字へ転落。
(今日発表の今年7月の貿易統計では、過去3番目の大きさの赤字額を記録したそうですね。)
日本経済停滞の原因として、日本の“お家芸”の製造業の国際的な存在感が薄れている事が挙げられています。
先進国のダブついたマネーは、日本を通り越して(“ジャパン・パッシング”)、新興国へと向かっています。

また、公的債務が対GDP比で200%を超えるという異常事態にも触れられています。
本屋の経済書のコーナーでは「日本国債暴落」に備えよ、といった本が並んでいますが、数年の内に日本は破綻するというシナリオを描いている人々は少なからず存在します。国債デフォルトで儲けを狙うヘッジファンドもあるというのもよく聞く話です。
本書でも、そうしたシナリオが現実味を帯びている事を強調し、危機感を持つべきだと警鐘を鳴らしています。

②内向き・下向き・後ろ向きの日本の若者

「この国を出よ」というメッセージには、内向きな若者への叱咤の意味も込められています。
日本からアメリカへの留学生が減っている事や、若い起業家が充分に育たない現状を挙げて、ハングリー精神の欠けた現代の若者を憂いています。
また、ビジネスをマネーゲームと捉えている“ヒルズ族”のような例も挙げ、「ビジネスを通じて世の中を良くしたい」「社会を変えたい」といった信念が欠如しがちである事も指摘しています。

「安定」を求める若者が増えた現状は、「イギリス病」になぞらえて「日本病」と本書では称しています。
「イギリス病」とは、「ゆりかごから墓場まで」という言葉で表される手厚い社会保障制度や基幹産業の国有化が、国民の働く意欲の低下を招いたとする説です。
“環境が人をつくる”とはよく言いますが、過保護な国策により日本人のぬるま湯根性が築かれたというのは、さもありなんと感じます。
終身雇用制度や馴れ合いの社会を見れば、戦後の日本のサラリーマンにあったとされるハングリー精神が削がれてしまうのも無理はありません。

③信頼できない日本の政治

本書が執筆されたのは民主党政権時代。首相の発言がブレにブレまくった時期です。
言っている事とやっている事がちぐはぐで、何一つ統一性がない政権を痛烈に批判しています。
また、上述のように異常なまでに膨れ上がった公的債務や、他国に比べて高い法人税や無駄な規制をやり玉に挙げて、日本政府の経営感覚の欠如も指摘しています。

④絶望的状況なのに能天気な日本人

批判の矛先は、現在の日本社会の状況を唯々として受け入れている日本国民にも向けられています。
むしろ、全ての日本国民こそ最も批判したかった対象なのかもしれません。
一度は経済大国の名を掴んだ日本。しかし、栄誉を手にした途端に慢心が膨らんでいきました。
そうした日本人の気質を育てたのは、政治家であり、マスコミであり、そうした政治を選んだ国民自身である。
著書の二人は、そんな論調で国民を批判し、危機意識を持つよう警告しています。


グローバル化に対して日本人は拒否反応が強く、「チャンス」と捉えられている人は少ないです。
本書では、この時代を前向きに捉え、グローバルな視点で日本の危機的状況を眺めるよう諭しています。
そうした思いも「この国を出よ」という一言に凝縮されています。
ネガティブな意味でも、ポジティブな意味でも、日本を飛び出す事の意義を考えさせられる一冊でした。

category: 経済について学ぶ本

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一生お金に困らない人生戦略 お金の才能/午堂登紀雄  


お金の才能お金の才能
(2009/12/08)
午堂 登紀雄

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著者の本を紹介するのは3冊目です。
(前の2冊は、『「読む・考える・書く」技術』、『33歳で資産3億円をつくった私の方法』)
いずれも著者の持っているネタを凝縮したような構成となっており、“お得感”のある本ばかりです。

本書はタイトル通り、お金持ちになるための方法を著わした本です。
『33歳で資産3億円~』は投資の話がメインでしたが、本書ではお金持ちとなるのに必要な「能力」に重点が置かれています。(勿論、お金を増やす方法として、さまざまな種類の投資に関する戦略も述べられています。)

具体的には以下の5つの能力について、その高め方を説いています。
①お金を貯める才能…家計の固定費や自宅選び、モノを買う時の節約について
②情報を読み解き、お金をコントロールする才能…投資に不可欠な「情報収集力」「洞察力」について
③お金を増やす才能…お金を増やすのに必要な具体的な投資戦略について
④お金を使う才能…価値のあるお金の使い方や自分への投資について
⑤お金を稼ぐ才能…一人で世の中を生き抜くのに必要なスキル、知識について

様々な観点からお金持ちになる習慣やノウハウについて述べられています。
資産を増やすヒントを知りたい方は、ぜひ一読されることをオススメします。
冒頭で述べた通り、中身の詰まった本なので、きっと損はしないはずです。



本書の冒頭では、「現代社会では、お金は万能といっても大げさではない」と書かれています。
内容も「お金の才能」というストレートなタイトルですので、敬遠される方も多いかと思います。

ただ、決してお金に執着する生き方を推奨する本ではありません。
本書で書かれる「お金を稼ぐ方法」は「自分を磨く手段」、「賢く生きる術」と読み替えることもできます。
ビジネスパーソンとしてワンランク上にいくためには何を学ぶべきか、自己責任が問われる時代で賢く生き延びるには何を行うべきか。
資産形成の手法を学ぶと同時に、自己啓発にも役立てることのできる本です。

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33歳で資産3億円をつくった私の方法/午堂登紀雄  


33歳で資産3億円をつくった私の方法33歳で資産3億円をつくった私の方法
(2006/02)
午堂 登紀雄

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『「読む・考える・書く」技術』のボリューミーな内容が気に入ったので、
著書の処女作であるという本書を読んでみました。
狙い済ましたようなタイトルの本書は、13刷というロングセラーに成功しています。


『金持ち父さん 貧乏父さん』に代表されるファイナンス系の啓発書では、決まって次の主張がなされます。
“サラリーマンに甘んじるな。不労所得を手に入れろ。”
判を押したように皆同じ事を言っているのですが、「わかっちゃいるけど、その一歩が踏み出せるような人間ならとっくに金持ちになってるよ…」と思う方が大半ではないでしょうか。

本書でも、主張は上記と同様ですが、もう少し具体的な各論にまで踏み込んでいるのが特徴です。
不動産投資に株式投資、そして起業の3点について、成功者ならではのリアルで役立つアドバイスが満載です。
安直な方法を紹介するのでもなく、大風呂敷を広げているわけでもありません。
でも、資産が有り余っていなくても、優れたスキルを持っていなくても、「お金持ち」になれる。
一般人の立場になって、手の届くリアルな資産形成術を提示してくれるので、その気になる事ができます。


本書には、「最も堅実な資産形成術は不動産投資である」と思わせる説得力があります。
『会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと』で泉氏も述べていましたが、
不動産投資の基本は、「ローン返済と家賃収入の差額が利益である」という計算式です。
(ちなみに泉氏は200件くらい物件を持っているそうです。)
本書では、銀行から借金をする段階から不動産選びのコツまで書かれていますが、読む限りでは年収が400万程度あるサラリーマンなら、それほどハードルは高くなさそうです。
少し考えてみれば、利益を上げ続ける「仕組み」を持つ不動産投資は、非常に安定的なキャッシュフローを手にする事のできる堅実な資産形成術であることがわかります。

ただ、それでもリスクへの不安が日本人に強い理由の一つは、バブルを経験しているためです。
僕はちょうどバブルが弾けるという頃に生まれたのですが、バブル崩壊が多くの人の破綻を招いたために、これまで“好景気”というものを一度も実感した事のない人生を送っています。
しかし、日本中にそうした不況マインドが広がっている中でも、超低金利を利用して積極的に投資を行い、資産を築いている人もいるのも事実です。
金融リテラシーを身に付け、正しくリスクを把握できる人間の方が、圧倒的に得だろうと感じます。

本書には、投資や起業を“正しく恐れる”事ができるよう、リスクについてもちゃんと述べられています。
なかなか一歩が踏み出せないで迷っている人にオススメです。きっと背中を押してくれると思います。

category: FX・資産運用の手法を学ぶ本

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会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと/泉正人  


会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと (Sanctuary books)会社に頼らず生きるために知っておくべきお金のこと (Sanctuary books)
(2011/10/28)
泉正人

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著者は「日本ファイナンシャルアカデミー」の代表。
投資関連をネットで検索すると必ず広告が表示される、投資セミナーなどを行っている会社です。

500万円あったらどんな事業を始めるか?
このテーマに対して生徒がビジネスプランを立案し、それを著書が掘り下げて検討していく。
本書では、そんな形でお金の使い方についての授業が展開されます。
売上やコストについて、とても具体的で現実的なシミュレーションを行っているのが大きな特徴です。

例えば、立ち食いそば屋を始めるというモデルでは、客単価や回転数などから売上を計算し、立地コストや人件費、材料費、水道光熱費などのコストを差し引いて利益を求めます。具体的な金額を提示してくれるためリアリティがあります。
望ましい原価率や利益率、広告費の売上に対する割合なんかも教えてくれます。

事業を始めるとなると初期費用にばかり目が行きがちですが、事業運営にはキャッシュフローを想定する事が第一であると学ぶことができます。
お金を増やすビジネスに必要なのは、元手の金額の多寡ではなく、お金を継続的に稼ぐ“仕組み”であると言う事です。

そうした視点でお金の流れを見ると、飲食店などの個人事業主も不動産投資も銀行も、どんなビジネスも同じモノサシで捉える事ができます。
そのモノサシとは、「仕入れと支払いの差額が利益である」(=出るお金と入るお金の差額が儲けである)という計算式です。

飲食店であれば、150円で仕入れる一方で、500円で売る。
不動産投資であれば、ローンを組んで毎月11万円を借金返済にあてる一方で、毎月20万円の家賃を手にする。
銀行であれば、利息0.1%でお金を調達する一方で、3%の金利でお金を貸し出す。
どんなビジネスも絶対に両面があり、その差額が利益になる、ということを著者は強調しています。

稼ぎ続ける“仕組み”があれば、借金だって恐れる事はない。
そして、その“仕組み”を考える上で重要なのが、「損益計算のやり方、キャッシュフロー経営の考え方、バランスシートの見方」であるという事がわかります。
ここに会計を学ぶことの本質的な意義があるのだと感じました。

これを読むと、自分にも事業を立ち上げられそうな気がしてきます。
具体例からビジネスの本質を学ぶことのできる良書だと思います。

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